オールド(映画) 感想

先日,映画の「オールド」を拝見してきました。


(画像は拾い物です。)

オールドは「シックス・センス」などで有名なM・ナイト・シャマラン監督の映画作品です。
(と言いながら私はシックス・センスも含めて全然知らないんですけどね…。)

■概略(Wikipediaより抜粋)

カッパ夫妻(ガイとプリスカ)は幼い2人の子供(トレントとマドックス)を連れて穴場的なビーチにやって来たが、ほどなくして、自分たちの体が急速に老化していることに気がついた。一家を含む滞在者たちはビーチからの脱出を懸命に試みるも、あと一歩のところで意識を失ってしまうのだった。

誘われて映画館に見に行ってきたのですが,誘われたときは存在すら知らなかったので私が映画に疎いことを踏まえてもプロモーション不足だと思います。
また,最寄りの映画館では上映されておらず少し遠征して見てきたくらいで,上映している映画館数,回数ともに少ないようですね。
個人的にはわりとおもしろい作品と思っているのですが,ネットを見ると賛否両論のようで,今後の展開を考えてもあまり興行的には伸びないのかなと思っていたりします。

以下,ネタバレありで感想を記載します。
内容を把握している方向けの記載となりますのでご注意を。

■感想(ネタバレあり)

(以下,ネタバレありのため少し空行を入れておきます)

この映画は映画館の1回の上映が2時間だったので,CMとか映画泥棒などを除くと大体110分くらいでそれほど長い方ではないかと思いますが,設定が奇抜なこともあり最初はかなり駆け足に感じました。
序盤にいくつも伏線を張っていたのですが,回収するフェーズになってもあんまりピンと来なかったものもありました。

そんな中,リゾートホテル(?)の近くの岩場に囲まれたビーチが舞台であることやそのビーチがなにやら変であることがわかります。
ただ,この辺りはタイトルやトレーラーから自明で,老化速度が早いビーチということはあまり隠すポイントではなかったようです。
(この点について,見る前はハウダニットの作品と思っていたのですが,ホテル関係者のビーチへの連れて行き方などを見て,どちらかというとホワイダニットの作品と思うようになりました。)

その後で,そのビーチから脱出を試みようとしたりメンバ間で揉めたりいろいろあり,最終的にはホテルの裏で製薬会社が新薬の臨床試験をするためにこのビーチに閉じ込めていたことがわかり,なんとか脱出できた2人がその悪事を暴いて終了となります。
納得するしないは置いておいて目的としては理解できますし,驚きもあってミステリーとしてはいいところだったのかなと思いました。

流れとしては上記で,奇抜な設定と予想外の動機,その間に差し込まれるコミカルな描写やホラー描写,ハートフルな話などもあって要素が盛りだくさんで満足感のある内容だったと思います。

…とはいえ,実写であることも含めて映画としてはちょっと気になるところもいくつかありました

まずはやっぱり舞台であるビーチがとんでも過ぎですね。
おもしろい設定ですし,フィクションなんだから突っ込まずに見たい所ではあるのですが,どうしてもリアリティは感じにくいですし,演者さんの老化具合や話の展開(病状が進んだり亡くなったりとか,メンバ間での揉め事とか)がシームレスでなく段々で進んでいってて説明と合っていないのが気になりましたね。
(老化のスピード感を映像作品で表現するのはとても難しいとは思いますが。)

上記にも関わるところですがご都合主義なところも目立ちました。
かなりのサイズの腫瘍を除去したときは自然治癒した一方,錆びたナイフで傷を負ったらそのまま亡くなるのは辻褄が合っていない気がします。
(これは私が見落としただけかもしれませんが)ビーチの説明が残っている理由も把握できなかったですし,サンゴ礁の中を泳いで脱出する件も1日前まで子供だった特に訓練も受けていないであろう2人がぶっつけで完遂できるとは思いにくいです。

あと,最後はハッピーエンドの雰囲気もありましたが,2人は1日で50年分くらい老けてしまってエレメンタルな教育を完遂しないまま老人手前まで来ているし,両親も亡くしていて相当つらい後日談が想像できるのですがあの終わり方でいいのかな…。
ホラー要素を強めるためにも,未解決のままで次のお客さん(被験者)がホテルに到着したところに支配人が笑顔で出迎えるところで終わるのもいいかな…と勝手に思いました。

なんだか文句ばっかりになってしまいましたが,上記のようなツッコミどころがあってもおもしろい映画だと思いました。
奇抜な設定を活かしてテンポがよかったですし,やっぱり動機が予想外かつ考えさせる内容で,それが見終わった後に独特な後味を残していると思います。
また,全体的に伏線の張り方や回収の仕方も上手く,細かい描写や演出に意図が感じられて全体としてきれいにまとまっていたと思います。

あまり宣伝もされていないし,映像化が難しい内容だったことなども踏まえて高い評価は得にくい作品かと思いますが,意欲作だと思いますし個人的にはマッチしていたので満足できました。
ネットで他の方のブログなどを拝見すると,いろいろ突っ込まれていたり酷評されていたりしていて仰る通りだと思うことばかりですが,本作ではその辺りは目をつぶって,奇抜な舞台設定と動機に注目して見ると楽しめるのかなと思いました。

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