映画館で劇場版「冴えない彼女の育てかた Fine」を拝見してきました。
(画像は現地で撮影したものです。パネルの方は前回行ったときに撮ったもので,なぜか当日は見当たりませんでした。)
友人に誘われて行ってきました。
私はアニメ視聴済み・原作既読で,それらが自分の中で高評価だったこともあってやたらと期待値の高い状態で見に行きました。
が,それを超えるハイクオリティだったと思います。
詳しい内容は後で触れますが,内容はTVアニメ1期・2期の内容を一通りを把握していることを前提としており,これから映画館に行こうと思っている方は取り急ぎアニメを見てから行ったほうが無難かと思います。
アニメの内容が頭に入っていれば満足できる内容かと思いますので,是非映画館まで足を運んでみてください!
以下,原作やTVアニメも含めてネタバレありで感想を記載します。
内容を把握している方向けの記載となりますのでご注意を。
■感想(ネタバレあり)
(以下,ネタバレありのため少し空行を入れておきます)
いやーとてもよかった。
一時期どハマリしていまして,原作・アニメ共にそれぞれよさのあるシリーズの劇場版ということで自分の中でやたらと期待値が高くなっていたのですが,期待を上回るクオリティだったと思います。
全体的に描写・演出などが洗練されており,尺も長い上に(開始前のCMなどを込みで2時間くらい?)丁寧に作られていて,意気込みを感じました。
内容は,大筋はTVアニメ2期の後の話を原作に沿って素直に映像化した感じで,かつ一部端折ったり補完・肉付けしていったりした感じですかね。
(原作が実家の本棚にあって細かいところを確認できないのが痛い…)
PVなどでは「加藤エンド」感を出しておきながら事前情報で「加藤エンド」だと明言されているものを見れていなかったので,「もしかしたら原作通りの加藤エンドじゃなくて(読んでいませんが漫画の恋するメトロノーム的な)ifルートだったりする?」とか思ってたりもしたのですが,PVのイメージの通りの内容だったように思います。
(公開直前WEB予告辺りを見ると自明だった気もしますが…。)
原作では新生blessing software発足から紅坂さんが倒れるまでの間はサークル内部の話よりもサークルを抜けた2人のフィールズ・クロニクル関連や新体制となったblessing softwareとの絡み辺りにフォーカスされて書かれていた印象なのですが,その辺はわりと端折られて,その分blessing softwareの新作や安芸くんと加藤さんの間のいちゃこらにフォーカスされていたように思います。
映像化にあたってはこの辺りの整理はよかったように思います。
端折った辺りは若干加藤さんの存在感が薄く,かつ若干空気が変に重かったのと,そもそもこの映画は原作通りの「加藤エンド」であり,時間の配分として加藤さんに割くのは得策だと思います。
また,加藤さん絡みもサークルの新作より,単純に安芸くんと加藤さんの間の進展の方に重きを置かれていたようで,この点も上記と同じ理由でよかったと思います。
また,エンドロールの後におそらく初出のエピローグがあり,それがやたらと長くて力が入っていたのが印象的でした。
エンドロールで挿入歌に「ラブ・ストーリーは突然に」がクレジットされていたのを見て,本編で流れた記憶がなかったのでCパート的な位置づけであるのかと思って見ていたのですが,本編終了時の数年後の時系列で安芸くんと加藤さんが別れたり羽島くんがボロボロになっていたり安芸くんと詩羽先輩がやたらとロマンチックに再会したり,といったこと(実はこれは詩羽先輩の創作)をコミカルにやり始め,その後の話もわりと設定もしっかり作り込まれていて,サークルが会社になって英梨々と詩羽先輩に発注できるような状態になっていることがわかったり,安芸くんと加藤さんがまたいちゃこらする描写があったり,原作既読の状態で見ると(本編は言ってしまえば既知の内容の確認なので)エピローグが新作短編として見れてなかなかよかったと思います。
後はアニメ的な演出面で,全体的にメタい発言や演出がちょこちょこあって小気味よい感じでした。
冒頭でサークルを抜けた2人が「部外者だからクレジットも下の方になっている」的な発言をしていたかと思うと,実際にエンドロールで下の方どころか最後になっていたり(出番を考えれば普通に上の方),ラストの「お疲れ様でしたー」のトーンがキャラ声というより中の人の地声ように聴こえ,収録が終わったときに撮った声なんじゃないかと邪推させるような演出になっていたり(と邪推させるような声にしてあったり),元々TVアニメの時からあった所謂オタク向けのメタい演出が光っていました。
私はわりとこういうのは好きです。
あと,個人的に気になったのは,ラストシーンの後に「今度こそおしまい」(大意)という文字が表示されて終わったのですが,TVアニメの2期の終わりに表示された文字とフォントが(多分)一緒でグッときた半面,「もう今回でこのシリーズのアニメは終わりなんだなぁ」と淋しくなってしまいました。
まぁエピローグが原作無視(というと語弊がありそうですが,なんというか後先をあまり考慮していない感じ)だったので,上記の表示があろうがなかろうがちょっと考えれば今回で終わりというのは自明かと思いますが,個人的には結構ポイントでした。
といった感じでなかなか満足な出来栄えでした。
思いのほか映画館がすいていたのですが,もっと流行らないかな…。
…しかし,映画というかシリーズ全体について改めて考えてみると,自分はこのシリーズの話が好きではあるのですがいまいち安芸くんに共感できないところがあるんですよね。
まず,加藤さんとの出会いに運命を感じたからと言ってそれをゲームにしようという発想がいまいちわからないんですよね。
まずプログラマーにあてがないとなかなかゲームを作ろう(というか作れる)という発想にはならないと思いますし,シナリオと原画しかあてがないなら素直に進めるなら同人誌なのでは…?
本当はギャルゲーを作りたいというより,加藤さんに一目惚れしちゃった熱をどこかに向けたい,というのが本人も気づいていない気持ちなのでは…と思っています。
また,そもそも英梨々や詩羽先輩にあれだけアタックされてなびかないのがよくわからないです。
何が気に食わないんだ…?
まぁでもこのシリーズはキャラの立ったたくさんのサブヒロインから言い寄られながらもメインヒロインである加藤さんと進展して行く様を楽しむラブコメだと思っているので,上記のような疑問を持った状態であろうと,後々綴られる加藤さんの魅力や加藤さんとのエピソードを見ていくうちに気にならなくなっていくのが不思議です。
そういった意味で,(私があまりものを知らないだけかもしれませんが)このシリーズは設定が斬新で,かつ,よくできている話なのだと思います。
私はTVアニメ視聴後に原作を買い出した口ですが,運よく見れてよかったと思います。